FLAT I / ローコストで光・視界・風が抜けるリノベーション

今回は、20 代のご夫婦と２歳になるお子様のため中古マンションのリノベーション案をご紹介します。

愛知県春日井市に建つこの建物周辺は緑が望め、風が心地よく流れている為、お子様を育てる環境には最適の立地です。

今回のリノベーション案でのご要望はローコストで光・視界・風が抜ける様にすることと、シンプルで温かみを感じるマンションらしくない開放的な空間にすることを重視した空間構成、デザインを心掛けています。

間取りの変更時の工夫としては、洋室を少し小さくする代わりに土間の空間を広くしています。さらに横に大きな鏡を取り付けることにより、視覚をした空間構成をしている為、奥行きが出て空間に広がりが生まれました。

この奥行きを生んだ効果により、暗く狭く感じていたマンションの玄関を明るく、広々とした空間となるようになっています。

空間構成を変更する際に注意しなければいけない点としては、「何かを加えたら何かを無くさないといけない」ということです。今回のリノベーション案では、洋室を小さくした分、窓がなくなってしまいます。その場合の工夫として、小さな窓ではありますが、開閉可能な窓をつけ、ちょうど良い量の光と空気の流れを得ることもできるようにしました。また、窓が機能だけでなく、土間の壁のアクセントとなるようにしています。

間取りの変更以外にも、廊下からリビングに入る戸を引き込みに変更しています。閉鎖的な空間を作らない為に、開けっ放しにしておくことで、開放感が得られるだけでなく通風を確保しやすくなり、部屋を連続させて使用することが出来ます。こういった工夫によりわざわざ壁を取り壊さなくても部屋同士を一体とすることができます。

また、閉めている時も空間どうしでつねに気配を感じられる様にレトロ感のあるガラスを付けました。このガラスは光を取り入れるだけではなく、アクセントとしても空間を演出する工夫となっています。

このように一つの連続した空間の中に人の気配を感じられたり、プライバシーを確保できたり、住まいの中に様々な距離感が生まれるようにしました。

キッチンスペースでは、依頼者が観葉植物を育てており、緑に囲まれた中でのびのびと生活を楽しんでいらっしゃることもあり、キッチンを通常の６５cmの奥行きを100cm程度にして、キッチン前に観葉植物などを置けるスペースを確保しています。更に、奥行きを広げたことで、お子様のおもちゃなど収納できるスペースを作ることもできました。

上には吊り棚を設けて、観葉植物を置いたり、キッチンツールを飾りながら収納できたりとキッチン全体が部屋のインテリアの一部になるように考えました。

空間を彩る植物などは、平面的に考えるのではなく、立体的に部屋全体でプランニングすることで、キッチンなどの機能と「自然と絡み合う」様になります。

今回のリノベーションでは新建材や既製品をあまり使わず、全て造作で製作をしています。その為、キッチンや洗面台、建具なども全てシナ合板を使用して製作をして、家具や建具には木目が生きるオイルステインを使い、温かみのあるアンチーク調に仕上げることができました。造作で製作したことで、色や質感を合わせて統一感のある空間を演出することがきました。

床の段差などについては、バリアフリー化をして、仕上げ材にも無垢材を使用しています。それにより、お子様はゴロゴロと寝転んで遊ぶこともできます。また、将来年齢を重ねる内に辛くなる小さな段差など、心配する要素もなくなる為、長い目で見ても計画性のあるリノベーションです。

その他、アーチ型洗面室ドアを取り付けたり、レトロ感のあるガラス入りの引き戸や金物を取り付けたり、窓枠にアイロン塗装を使ったりと空間との相性を意識しながらリノベーション工事を進めて行きました。

空間構成は足し算と引き算です。何かを加えると何かを無くすことになりますが、無くなる要素を逆にプラスに働かせる、違ったものに生まれ変わらせるのがリノベーションの醍醐味です。

お客様からのご要望をいかにカタチにするか、よりリーズナブルにご提供できるかという点に注力し、お客様の夢を叶えるお手伝いをさせていただきました。

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